White Giraffe
鷹宮さんは黒いジャケットのポケットに手を入れて、聞く。
「なんか…眠ってしまったんです。」
「だとしたらソファーで寝るなよ。」
「鷹宮さんがよく寝ていたので。」
ホテルを出て、駅に向かった。
人々のラッシュと重なったらしく、少し多くの人がいる。
「お前さ、“鷹宮さん”て呼ぶのやめろよ。」
さよなら、と言って歩きだそうとした所を止められる。
あたしは鷹宮さんを見上げた。
「呼ぶんならクロ。」
クロ。
「鷹宮さん、て駄目ですか?」
「駄目ってか。呼ばれ慣れてねぇんだよ。」
「なんか…それは…。」
抵抗がある。