White Giraffe
…でも。
「俳優じゃなくて、良かったです。」
あたしは言う。
「なんで?」
「…だって、俳優だったらきっと出会ってなかったから。」
人との出会いはそんなくらいのもの。
あたしは黒都に会えた事を『運命』にこじつける事はしない。
いなかったら、いなかったで今を淡々と生きていると思う。
「俺は出会ってたと思うけど。」
「どうしてですか?」
「…お前、なんで敬語使ってんの?」
さっきの仕返しなのか、違う話題にされる。
「一応、年上なので。」
あ、年上で思いだした。
あたしはカバンの奥底から、いつしか買ったペンダントを取り出す。