左肩の重み~隣で眠る君へ~
「あっ、まだこの前のアイス食べかけだった」


美香はアイスのカップを一気に一個食べない。


好きなものを少しずつ食べたいというのが理由らしい。


食べかけのアイスとスプーンを持って、嬉しそうに俺の隣に座る。


美香はアイス片手にテレビを見て、俺はその横で雑誌を読む。


最初からこれが、俺たちの付き合い方。


俺たちはお互いに、ベタベタするのを好まない。


同じ空間にいて、同じ空気を感じていれば十分。


そのうち美香は、俺の左肩に頭を乗せて眠ってしまう。


初めてこの行為をされたとき、俺は少しだけ嬉しくなった。


美香が完全に俺に、心を許したと思ったから。


それでもだからと言って、美香の素直に思ったことを口に出せない性格は変わらない。


だから俺は、ちょっとだけ美香の心を感じてやる。


不思議と、美香の心の中は感じることが出来た。


ただそれも、会社で常に美香の近くにいるから分かること。
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