左肩の重み~隣で眠る君へ~
ただ、出来すぎるというのはまた問題になる。


美香が会社に入って半年を過ぎたころ、入社1年目にしては少し大きな仕事を任された。


それが、女性上司の癇に障ったんだろう。


休憩室の前を通った俺の耳に、たまたま美香の悪口が聞こえてきた。


いや、悪口というよりもただの嫉妬だ。


しかも、それをドアを開けようとした美香が聞いている。


泣くだろうか?と思った。


しかし、美香から出た言葉はあまりにも意外なものだった。


「バカらし」


その言葉を聞いたとたん、俺は吹き出してしまった。


「やだ。佐伯さん聞いてたんですか?」


後ろを振り返った美香の顔は、恥ずかしいのか真っ赤だった。


「バカらしいか。俺は泣くと思ったけどな」


「泣きませんよ。私のこと言ってる暇あったら、仕事しろって思います。私、おかしいですかね?」


「いや、俺もそう思うよ」
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