左肩の重み~隣で眠る君へ~
それから俺が夜まで仕事をしていても、美香の姿を見ることはなかった。


ただそんな話をした1ヶ月後くらいから、また美香の姿を見かけるようになった。


「またやってるの?」


俺の声に美香はビクッと肩を揺らし、まるでいたずらを失敗した子のような顔を俺に向けた。


「家で練習しても他に気を取られちゃうから」


「俺に聞くのが嫌なら、他の奴に聞けばいい。同僚と仲良いでしょ?」


隣のディスクの椅子を出して、美香と向き合う。


「聞けません」


美香の目に薄らと涙が浮かぶ。


「なんで?」


はぁと息を吐くと、美香の目から涙が落ちた。


「人に弱いところは見せたくないんです」


小さな声で、美香は呟いた。


「バカなんです、私。人の前では常に完璧でありたいって思っちゃうから」


「だから、Excelが出来ないかっこ悪いところは見せられない?」
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