左肩の重み~隣で眠る君へ~
それから俺は、ほんの少しだけ美香に目を配るようになった。


今まで指導係といっても、美香はなんでも一人でこなしてきたから、指示を出すだけで終わっていた部分があった。


でもほんとは、聞きたいことも聞けなかったんだと思う。


美香の性格からすると。


だから悩んでいる顔を見ると、俺から声をかけるようにした。


そうすれば美香も、素直にここが分からないと言ってくれたから。


「あの・・・」


「ん?なに?」


俺が美香への声かけを意識的に始めてから、美香も少しずつ俺に声をかけてくるようになった。


「ここが分からなくて・・・」


素直に分からないとも言えるようになってきた。


きっと美香が俺に少しずつ心を開き始めたんだろう。


それでも俺が忙しそうにしていると、一切声をかけて来ない。


他の上司や同僚にも、聞いている素振はなかった。


完璧主義である前に、人と付き合うのが苦手なのかもしれないと思った。
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