蝙蝠の嘘
 命からがら
飛び込んだのは
ある建物の窓でした。

「――あら、
どなたかしら?」

「ピーピー」

 蝙蝠に触れる暖かい手。

「まぁ、可愛い
小鳥さんね」

(―――え?)

 そこは病院の一室、
ふかふかのベットの上。

 暖かい手の主は、
入院していた女の子でした。
彼女は目が見えなかったのです。

 その日から蝙蝠は
女の子と暮らしはじめました。

小鳥のフリをして―――
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