蝙蝠の嘘
(……えっ?)

 その声に顔を上げる蝙蝠が見たのは、
ゆっくりとコチラを振り向く女の子の姿でした。
 彼女は大きな目をきらきらさせて、
彼を見つめています。

(えええええ
―――――ッ!? )

「ほら、早く!
もっと近くで顔を見せて」

バサバサバサッ

 彼女のもとへ飛びこんで行く蝙蝠。

(…どうして…?)

 とまどう彼に
微笑みながら、
彼女は言いました。

「見えてなくても
アタシには見えてたのよ、
最初からアナタが――――」
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