Slow Magic ―俺を変えてくれた人―
「ちょっと!!頼むよ、隆介~」
「嘘だよ。行くよ。機嫌悪いけど」
健太を思い出すということは、辛い恋愛を思い出すということ。
親友と同じ女を好きになった苦い経験を・・・・・・
やっぱり、恋愛なんてするべきじゃない。
俺には向いてない。
待ち合わせはケーキ屋。
「俺、腹減ってんだよ。どうしてケーキ屋なんだ?」
「ははは。ごめんごめん。サンドイッチくらいあるんじゃない?」
ケーキ屋の駐輪場の脇にバイクを停め、メットを外し、卓弥が手を振る方向を見た。
卓弥の彼女のゆかりは、前に会ったことがある。
その隣にいるのが、『S』な男が好きな女か?
どこにでもいる女って感じ。
流行の服を着て、髪をくるくる巻いて。
美人っていうよりは、かわいいって感じの顔だけど、特別惹かれるものはない。
動きが小動物っぽくてちょっと笑える。