Slow Magic ―俺を変えてくれた人―
「ほら、喜んでる。あの子だよ」
「ふ~ん。1人で飛び跳ねてる。変な女だな」
卓弥の彼女の影に隠れながら俺を見ているその女は、俺が視線を送ると、また背中に隠れた。
俺と卓弥はゆっくりと歩いて、2人の元に近付いた。
きゃっきゃっとはしゃぐ声が聞こえる。
「隆介君、私の短大の友達の美亜ちゃん……」
ゆかりちゃんがその子の背中を押して、俺の前に突き出す。
「……初めまして・・・・・・美亜です」
さっきまで飛び跳ねていたくせに、急に大人しくなった。
消えそうな声で自己紹介したその子は、俺と目が合うとサッとそらして、顔を赤くした。
「どーも」
俺にしては、優しい表情を作ったつもりだったのに、この女・・・・・・俺のこと見てなかっただろ。