Slow Magic ―俺を変えてくれた人―
俺は店の中に入り、背中に視線を感じながら足早に歩く。
一番奥の4人掛けのテーブル。
俺は奥の席に座る。
俺の向かい側に座ろうとする女に一言。
「お前、こっちだろ?」
いきなりキツかった?
ちょっと反省して、謝ろうと思ったが、その子は嬉しそうな顔で俺の隣に座った。
さすが、ドM女。
ま、合格ってことにしてやるか。
仕方ねぇから名前覚えてやるか。
「誰だっけ?」
「あ、美亜です」
「あっそ」
美亜。
俺の隣で、表情をコロコロ変えているこの女の名前は“美亜”。
しっかり脳にインプットしてしまった自分に腹が立つ。