Slow Magic ―俺を変えてくれた人―
雨上がりのアスファルト。
ゴツゴツした靴で歩く。
朝降っていなかった雨が、俺の知らないうちに降って、止んだ。
数分だけ降っていたようで、雨に濡れていない場所もある。
空にはもう光が満ちていた。
大学の駐車場。
俺のバイクが俺を待っている。
大学の駐車場は、ほとんどが車ばかり。
大型バイクに乗っているのは数人だった。
「そのバイク邪魔なんだけど」
俺に文句を言うとは勇気のあるヤツだ。
「てめぇ、もう1回言ってみろ」
血の気が多い。
俺は、かぶったばかりのメットを外した。