Slow Magic ―俺を変えてくれた人―
「お~!またお前?ここ座れよ」
俺がそう言うと、美亜はまた嬉しそうな顔をして俺の隣にちょこんと座る。
「ケーキどれ食う?」
「どれにしよう。迷っちゃうなぁ」
「俺、モンブランな。お前チーズケーキな」
勝手にメニューを決める俺に対して怒るどころか、本気で嬉しそうな顔をする。
「うん」
美亜はにっこり微笑んで、少しだけ俺に近付いた。
何だよ。
くっつくなよ。
せっかく孤独に慣れたのに。
1人の寂しさも感じなくなったのに。
そんなにくっついたら思い出すだろ。
寂しくなるだろ。
ずっと前から気付いているのに、気付かないフリをしていること。
“人は1人では生きていけない”ってこと。