Slow Magic ―俺を変えてくれた人―
俺と美亜がケーキを食っていると、なにやら怪しげな雰囲気になった。
と言うのも・・・・・・
美亜の友達が偶然この店に入ってきて、その友達が卓弥と過去に何かあった女らしい。
関わるのはよそうと思って、俺は下を向きモンブランの上の栗を転がして遊んでいた。
ふと見上げたとき、見てしまった。
卓弥の彼女のゆかりちゃんの悲しい表情を。
必死で笑顔を保とうとしているが、瞳の色はさっきまでとは違っていた。
このふたりが以前に別れた原因は、卓弥の女関係だった。
美亜の友達が、どう関係しているのかはすぐに明らかになった。
空気を読まないその女が言った。
「あれからお店に全然来てくれないからみんな寂しがってるよ」
キャバ嬢?
派手な服装とメイクだったが、雰囲気は素朴だったから気付かなかった。
その女がその場から離れ、俺達のテーブルは異様な空気になってしまった。