Slow Magic ―俺を変えてくれた人―
「ケーキ食べよっか」
明るく言ったのは美亜。
こういうことができるのも美亜のいいところだと思う。
って・・・・・・なんで俺がそんな分析しなきゃならないんだ。
「卓弥も基本的に真面目だから、もう行かないだろ」
俺は、それくらいのことしか言えなかった。
俺は男だし、友達だから、できるだけ卓弥の味方になってやりたい。
でも、彼女がいるのにそういうお店に行くことが俺には理解できなかった。
「コイツ、俺が送ってくから」
俺と美亜は店を出た。
後ろからトコトコとついてくる美亜は、ペットみたいだと思った。
「隆介君はキャバクラとか行くの?」
俺がメットを渡すと、メットを撫でながら美亜が聞いてきた。
「行くわけないだろ。金出して愛想振りまいてもらっても嬉しくねぇし」
彼女がいたら絶対に行かないけど、彼女がいなくても行かない。
女に興味がないのかと不思議がられることもあるけど。
俺は一体、誰を求めているんだろう。
どんな女なら俺は満足できるんだろう。