Slow Magic ―俺を変えてくれた人―
「何やってんだよ!」
俺は、美亜が大事そうに抱きしめていたメットを美亜の頭に乗せた。
「ありがとう」
頭に乗せたメットの上からコツンと叩いてみる。
美亜は嬉しそうに顔を赤くする。
「早く乗れよ」
「は、はい!!」
信号で停まると、美亜は体に回していた手をゆるめる。
俺はその手を引っ張る。
「落ちるからくっついとけ」
俺の背中が好きなんだろう?
俺の背中に顔をくっつけると安心するんだろ?
俺も同じだから。
言わねぇけど、俺も安心するから。
お前だけ、特別許してやるよ。