Slow Magic ―俺を変えてくれた人―
「何見てんだよ」
「星だよ。私、夜空の星を眺めるのが好きなんだ」
見てしまった。
美亜の瞳に輝く涙。
笑顔ばかり俺に向けていた美亜の、たまらなく寂しそうな横顔を。
「お前は食い物にしか興味ないと思ってた。星なんて似合わないだろ」
「ふふ。そうかな」
笑顔が戻った。
俺はホッとする。
美亜には笑っていて欲しい。
だからって、美亜を幸せにしてやることはできないけど。
俺は気付き始めていた。
美亜が俺を好きになってくれていること。
だからこそ、俺はいじわるなことしか言えない。