Slow Magic ―俺を変えてくれた人―
さっきまでいた卓弥のバイト先の店で、俺はふざけて言ってみた。
“俺に惚れてんの?”
美亜は否定した。
“好きなら好きって言えよ”
こんないじわるを言ってみたり。
「隆介って、女に興味なさそうだね」
「ああ、女は信じられねぇ」
冷たく答える。
美亜は、また星空を見つめながら呟くように言った。
「私も・・・・・・ 男は信じられないんだぁ」
何があったんだ?って聞くのは簡単だけど、聞かなかった。
聞いてしまうと、俺が俺でいられなくなりそうだった。
「あっそ」
こうして星空をじっくりと眺めるのもいいもんだ。
子供の頃以来かもしれないな。