Slow Magic ―俺を変えてくれた人―
「俺も似たようなことがあったな。親友と同じ女を好きになった」
言うつもりはなかった。
でも気付いたら口が動いていた。
思い出したくもない思い出だったのに、美亜に話している俺はすがすがしい気持ちだった。
健太と同じ女を好きになった。
野球部マネージャーの鈴子。
いつもそばにいて俺を支えてくれた鈴子。
でも、鈴子が選んだのは健太だった。
その選択は正しいと俺も思う。
だから、もう未練もないし・・・・・・
普通に友達として付き合っていられる。
「未練あるの?」
「ねーよ。ばかじゃねぇの」
未練なんてあるわけない。
だって、未練があるなら俺は大事な人を2人も失うことになる。
健太も鈴子も、俺にとっては大事な存在だから。