Slow Magic ―俺を変えてくれた人―
1人暮らしの自分の家へ戻る。
狭い駐車場の1番奥。
俺の愛するバイクの寝床。
駐車場に咲く野の花に水をやっているおばあさんがいた。
この近所に住んでいるおばあさんだ。
「あら。あらら」
俺のバイクを見るといつも驚いた顔をする。
バイクよりも俺にビビってんのかもしれないけど。
「このバイクでかくてごめんね。いつも邪魔だろ。悪いな」
できるだけ柔らかい表情を作り、優しい声で言った。
思いも寄らない返事が返ってくる。
「かっこいいバイクだこと…… ごくろうさま」
ニヤリ。
俺は笑う。
俺のバイクを褒めてくれた。