Slow Magic ―俺を変えてくれた人―
電子レンジから弁当のいい匂いがしてきた時だった。
俺の携帯が鳴った。
電話が嫌いな俺に電話をかけてくるのは、美亜とアイツくらい。
だから、誰からか見なくてもわかった。
鈴子からだ。
一瞬迷った。
でも、俺は電話に出た。
別に鈴子とはやましい関係でもねぇし、それに美亜は俺の彼女じゃない。
「もしもし?」
またちょっとだけ高鳴る胸。
嫌だ。
どうにかしてこの高鳴りを消してくれ。
いつになったら俺は鈴子を忘れられるんだろう。
別にメールでも伝えられる内容なのに、わざわざ電話をしてくる鈴子。
俺が美亜をそばに置いておきたいのと同じで、鈴子も俺が離れていくのが怖いのか?
そうだとしたら、鈴子は悪女だ。
健太みたいな最高の彼氏がいるくせに。
俺に対しても・・・・・・
俺の気持ちを知っていながら・・・・・・