Slow Magic ―俺を変えてくれた人―
「なんだよ!お前のせいで弁当冷めただろ!」
本当はそんなことが言いたいんじゃない。
ごめんなって、言いたかった。
こんな俺でごめんなって。
「そんな言い方ないでしょ?隆介が悪いんじゃん」
美亜も俺に似て素直じゃない。
だけど、そんな美亜だからこそ一緒にいて楽なんだ。
似た者同士の俺達だから、相手のことがよくわかるんだ。
ま、そのせいで、俺達の関係は進展しないんだけどな。
「反省したか?俺も悪かった。鈴子と電話してたからスネたんだろ?」
美亜の頭の乱暴に手を乗せ、顔を覗き見た。
びっくりしたような美亜の顔。
あ、俺。
ちゃんとコイツのこと、好きなんだな。
今、そう思えた。