Slow Magic ―俺を変えてくれた人―
寂しい心
―寂しい心―
別に寂しいわけじゃない。
毎日辛いわけでもない。
学校行って、友達と笑って、バイトして……眠る。
また起きて、学校行って……
夢の中では今日も、誰かが俺の名前を呼ぶ。
きっとその人は俺のことなんて忘れているだろうに。
「隆介!!次の講義、代返してもらえる?」
火曜日は1限目から講義がある。
いつもは俺が代返を頼むんだけど……
「またデートか?いつも頼んでるから今日は任せといて」
俺、矢野隆介。
俺にペットボトルを手渡してきたのは、親友の卓弥。
この大学で、俺が唯一心を許せる相手。
親友と思える男。