Slow Magic ―俺を変えてくれた人―
「隆介、どうして追いかけてきてくれたの?」
そんな質問をする美亜に、またいつもみたいにいじわるを言いたいのに、今の俺はそれを許さなかった。
タバコの煙を天井に向かって吐き出す。
「お前が・・・・・・どっか行くと思ったから。俺の前から消えると思った」
母さんみたいに俺の前から消えると思うと、俺は怖くて仕方がなかった。
「俺、美亜が思ってるような強い男じゃない。きっと、本当の俺を知れば情けない男だと思うよ」
どうしたんだろう。
今日の俺。
俺らしくねぇ。
弱音吐きたくなる。
甘えたくなる。
美亜に、優しく撫でて欲しいって思う。