Slow Magic ―俺を変えてくれた人―
「手、出せ。お前の手」
俺は初めて美亜と手を繋いだ。
もう自分の行動が自分でもコントロールできなくなっていた。
美亜の手のぬくもりを感じながら、俺は目を閉じた。
よみがえる。
あの日の出来事。
忘れたくても忘れられない。
本当は忘れたくない思い出。
「俺さ・・・・・・母親に捨てられたんだ」
捨てられたと言ってから、捨てられたわけじゃないかもしれないと言い直した。
「突然、消えた。ある日突然、俺の前からいなくなった」
追いかけていれば、母さんは戻ってきたのかな。
それとも一緒に連れて行ってくれたのかな。