Slow Magic ―俺を変えてくれた人―




「手、出せ。お前の手」




俺は初めて美亜と手を繋いだ。



もう自分の行動が自分でもコントロールできなくなっていた。





美亜の手のぬくもりを感じながら、俺は目を閉じた。






よみがえる。


あの日の出来事。


忘れたくても忘れられない。



本当は忘れたくない思い出。







「俺さ・・・・・・母親に捨てられたんだ」




捨てられたと言ってから、捨てられたわけじゃないかもしれないと言い直した。





「突然、消えた。ある日突然、俺の前からいなくなった」




追いかけていれば、母さんは戻ってきたのかな。


それとも一緒に連れて行ってくれたのかな。



< 68 / 108 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop