Slow Magic ―俺を変えてくれた人―
「矢野、ダンス同好会の女子が呼んでるぞ」
少し早めの昼食。
講義抜け出して、卓弥とオムライスを食ってる時だった。
「ダンス?誰だよ、それ」
「隆介のファンじゃね?」
オムライスを頬張りながら食堂の外に出る。
「良かったら観に来てください。土曜日に発表会があるんで」
話したこともない、見たこともない女子が数名いた。
俺に、発表会の案内状を渡すと、ペコっと頭を下げた。
「俺に?海東じゃなくて?」
「はい。矢野さんです」
去っていく女子の背中を見ながら、俺は考える。
俺のどこを見て、何を気に入ったんだろう。
話したこともなくて、外見だけで俺のことを気に入ってくれたとしたら…… 彼女達も趣味が悪い。
卓弥の方がどう見ても爽やかだ。