Slow Magic ―俺を変えてくれた人―
「はぁ」
「告白だった?」
俺は、俺のオムライスに手を伸ばす卓弥の頭をバシっと叩いて、席につく。
「ダンスの発表会だってよ。観に来てくださいって言われたけど、誰が誰かもわかんねぇ」
卓弥は大きな口を開けて笑う。
「お前、本当にそういうの苦手だよな」
「俺はお前とは違うんだよ!!」
卓弥なら、愛想良く名前でも聞いて、仲良くなれるんだろうけど。
「で、隆介・・・・・・行くの?」
「行くわけねぇだろ!」
「1人で行きづらいなら付き合ってやるけど」
「行かねぇって言ってんだろ!!」
ニヤニヤする卓弥を睨み付け、残ったオムライスを口へ運ぶ。
水を一気飲み。
「そうだよな。かわいい彼女が泣いちゃうもんね」
調子に乗る卓弥。
「あぁ?何だと?」
また睨む。
「その顔まじで怖いから!ごめんごめん。でも、美亜ちゃんならそういう隆介の顔がかっこいいとか言うんだろうな」
俺はトレイを持って立ち上がる。
後ろからついてくる卓弥を無視しながら。