Slow Magic ―俺を変えてくれた人―
それから数日後だった。
「隆介、夕方時間ある?」
卓弥がニヤニヤしながら、俺の耳元に顔を近づけた。
「何だよ。気持ち悪い」
「前に話してただろ?俺の彼女の友達の女の子。会ってみる気ない?」
俺の深いため息を聞いて、卓弥も真似してため息をつく。
「だからぁ、俺はそういうのいらねぇから」
「あ~、隆介!ごめん!!もうメール送っちゃった!」
卓弥のヤツ・・・・・・
彼女へ送った送信メールを俺に見せながら、ニヤニヤと笑った。
【今、美亜ちゃんも一緒?今、隣に隆介いるんだけど、連れて行こうか?】
美亜ちゃんって誰だよ!
「おい、俺は行かねぇぞ」
まぁな、本気で行かないつもりじゃない。
親友の頼みだからっていうのもあるけど、俺はその女の好みの男のタイプを聞いて、会ってみようかと思った。
『Sな人』だってよ。
優しい男じゃなくて、意地悪な男を求める女って一体どんな女だよ。