Slow Magic ―俺を変えてくれた人―
ベンチに座って夜空を眺めていた鈴子が、俺の足音に気付く。
鈴子の前に立ち、タバコに火をつける。
「ここ、座ったら?」
ベンチに手を置き、自分の隣に俺の場所を作る。
「いいよ。立って話そう」
今日は、星が綺麗だ。
今夜だったら、美亜に言えたかもしれない。
「あのね、健太とケンカしちゃった」
「また?」
最近、ケンカが多い。
温和な健太とケンカになるなんて、鈴子もストレスたまってんのかな。
「優しすぎて・・・・・・」
「何だよ、それ。女ってだから嫌いなんだよ」
優しい人がいいと言いながら、優しいだけじゃ物足りないと言う。
反対に、引っ張ってくれる人がいいと言っていても、付き合うと、わがままだとか文句を言う。