Slow Magic ―俺を変えてくれた人―
俺は、今から美亜の家に行こうと思った。
携帯を見ると、やっぱり美亜から着信があった。
「あ~、隆介!お疲れ!」
「おう、お疲れさん」
店の前に停めたバイクにエンジンをかけようとすると、バイト仲間が店から出てきた。
「さっき、バイクの横に女がいたけど、隆介の彼女?」
「女?」
「あぁ、結構かわいい子だったけど」
バイクを少し走らせたところで、停めた。
美亜に電話をかけた。
出ない。
嫌な予感がする。
もしかして、バイクの横で待ってた女って美亜か?
もしかして・・・・・・ 俺と鈴子の話を聞いた?
「まさかな」
俺は独り言を言って、気持ちを落ち着けた。
何度電話をかけても、出なかった。
こんなことは初めてだった。
俺のペットなのに。
ご主人様の電話を無視するなんて、ありえねーだろ。
俺の嫌な予感は、きっと当たっている。
美亜は、店の前にいた。
きっと。