記憶 ―夢幻の森―
◯プロローグ◯

◯プロローグ◯



人は、

『輪廻』する――。



『転生』した後…、

母親の腹の中では、
まだ覚えているんだ。

前の、自分を……


でも、
この世で産声をあげた瞬間に、


『記憶』は、

あっちへ、還るんだ――


俺は、
それを知っているから…

忘れたくない想いがあるから…


『産声』をあげなかった。


俺は、この世に
『器』を生かしたまま…

意識の中に、
閉じ籠っている……


そうして
この世では、
何年経ったのだろう?


俺の『器』は、
あと、どれくらいで
朽ち果てる……?



早く、
還らなくては……


俺は、
未だ夢の中…



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