記憶 ―夢幻の森―
……逆、なんだ。
過去へ遡っているわけじゃない。
これは…、
この世に転生した、未だ見ぬ俺の姿。
だから、幼い…。
この道は、
きっと、時の通路。
進めば進む程に、
俺の体は成長する。
未来へと、
ずっと続く道。
……ちょっと、待て。
まだ、歩くのか…?
もう…いいんじゃないか?
『もう少しだ、キース!』
駄目だ…!
もう…進まないでくれよ…。
俺はいい。
この世の姿で、成長過程だ。
だけど、
……お前たちは…?
俺の足は、失速した。
『キースったら、早く早くっ!!』
だって…
お前たちは…
お前たちは……。
――…やっぱり。
俺の視界から、消えた。
俺は2人が消えた途端、その場所を目指して駆け出した。
「アズ!アイリ!!…どこだ!!」
2人は砂漠の国で、
これ以上…
「……どこだ!?」
目の前は白、白、白…
頼む…
行かないでくれ。
――ギィィ…
その扉は、俺の左手側に現れた。
入れ。
そう言わんばかりに存在した。
『……キース…、悲しまないで?』
「――アイリ!!」
俺は彼女の姿を必死に探すが、白い世界には扉だけ。
声だけ…。