記憶 ―夢幻の森―
11・思いやり
11・思いやり
洞窟を抜けても、また変わらぬ森だった。
白い月が見守る中、緑色の光を浴びながら一本道をひたすら進んだ。
このまま、ひたすら真っ直ぐに進むだけでいいのか?
そんなに簡単でいいのか?
俺は不安に思っていた。
「…何だろ、あれ。」
視界の先が、ぼんやりと青い光を放っていた。
ハルカは、道の先と目を細め首を傾げる俺を繰り返し見ていた。
その光は広範囲に渡り、ここから見る限り、森はそこで一度途切れる。
辿り着いてみれば、道は二つに分かれ、目の前には青く光りを放つ水面。
「今度は、湖か…?」
「…綺麗だね~?キース、あれ見て!」
ハルカの指差す方を見上げると、開けた紺色の夜空には白い月が二つ。
湖の向こうには、小高い山。
『…あの山かッ!?』
「…おそらく、そうだろうな。」
エウロパの山であろう「それ」は、青い光の向こうで、緑色の山肌を白く霞ませていた。
明日の晩、と言っていたな。
あの二つの月が重なる前に、あの山に着かなくてはならない。
『…エラく歩きそうだなッ!俺ちょっとだけ挫けたゾ…』
コンはそう言うと、その場で腰を下ろす。