記憶 ―夢幻の森―
『…その扉に入るんだ、キース…』
「――アズ!?」
彼もまた、声だけ…
どこまでが…、
俺の幻想だ?
どこからが真実だ?
この…扉は…?
『俺たちは、ここでお前の帰りを待っている。行っておいで?少年キース…』
『世界は…、時空を越えて運命の糸を紡ぐ…。これは必然な運命…』
……何を言っている?
『世界は繋がっている――』
『巡り逢う…、想いは想いを…、それは果てしない無数の連鎖……』
『『…さぁ、扉へ…――』』
そう2人の鮮明な声が重なった。
大きく口を開ける扉を前に、俺は立ち尽くした。
「俺は…お前たちのいるあの世界に帰りたいんだ…。他の世界など見たくもない…!」
『………んもぅ!せっかく、それっぽいシチュエーションにしたのに!!』
『相変わらず…頭固いな~、キース。』
……あぁ…
間違いなく彼ら本人だ、と俺は胸を撫で下ろした。
『でも、それじゃ駄目!行かなくちゃ…』
『仕方ない…、俺の最後の力を使うか…』
『アズ…』
……最後の力…?
何の事だ?
『アイリ、キースの帰り道を頼むよ。俺は多分…先にいってしまうだろうから…』