記憶 ―夢幻の森―
「「先客!?」」
コンは俺たちの声に、ビクッと体を震わせて驚く。
『…ぉ、おぉ。お姉さんが座ってたぞッ!?』
俺とハルカは顔を見合わせる。
「おんなじ目的の人かな?」
「…コン、どんな人だった?」
用心深いに超した事はない。
同じ目的なら争う事になるかもしれない。
そうなれば、ハルカは間違いなく譲ってしまうだろう。
それは避けたいな…。
『…どんな人ぉ~?それよりショックが大きくってさぁッ!…あ、でもケガしてたっぽい!』
「怪我…?」
ハルカが心配そうに聞く。
『だから岩に座ってたっぽいなッ?』
「話さなかったのか…?」
『声は掛けられたぞ?アイサツは一発吠えたッ。でも言葉通じないからなぁッ?』
「あぁ、そうだったな…」
コンはコクコクと頷いた。
「キース行ってみよ?怪我…、心配…。」
「あぁ、話も何か聞けるかもしれないな?」
俺は、見も知らずの人を思いやるハルカの頭を撫で、歩き出す。
分かれ道か…。
右の道から進んで、
左の道に出た…。
他に道があるのか?
いや、
「道」と呼べる物はない。
「試されてる」のか…?