記憶 ―夢幻の森―

誰もが、エマの背中から放たれる虹色の光に目を奪われていた。

美しく、清楚な…
可憐であり、神々しくもある。

何と表現するのが一番良いのか、分からない。
とにかく綺麗だった。


エマが瞳を開けると、羽根は背中からパッと消えてなくなった。


「…あっ、そうだ。怪我!」

ハルカは視線を自分の鞄に下ろし、中から小瓶を取り出す。

それは、ハルカの薬…。

俺の視線に気付き、ハルカは笑顔を向けた。


「大丈夫だよ?明日の晩には冒険から帰れるでしょう?三本あるから!」

だから、これはエマに使うんだ。
そう笑って小瓶のコルクを開け、エマの足に塗り始めた。


「花の蜜が入った露なの。怪我、少しは治ると思うよ?」

「…有り難う、ハルカちゃん。貴女の羽根の為の物でしょう?…あ、ここへ通してもらう時に森の主から少し聞いてて…」

ごめんなさい、とエマは謝った。

俺には見えないが、
多分、エマの心の目にはハルカの背中から放出されている「命」が、映っていたのではないか、とも思った。


「エマ、貴女もエウロパの「涙」、花の蜜が目的なのか…?」

俺は、恐る恐る質問する。
その目を、治すのだと言われたら、どうしたらいいものか…。

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