記憶 ―夢幻の森―
……何の話だ…?
『……分かった…。』
『また、すぐに逢えるよ…!』
わけの分からない2人の会話。
俺の胸に不安が過る。
「何を話しているんだ!?」
俺が、宙に向かって声をあらげた時だった。
『…キース。』
その声は上からではなく、後ろから聞こえた。
「アズ…!?」
存在出来ない世界に、無理矢理に体をねじ込んだ…
そんなかんじだ。
俺の目に映る彼の体は、所々掠れたり、霞んだり、歪んだり…
それでも笑顔だった。
『…俺も、お前も時間がないんだ…悪いな。』
俺には、さっぱり事情が分からない。
彼は俺に向かって、
突進してきた。
「――アズ!?」
…止まる気は、ないらしい。
『――許せッ、キース!!またどこかで逢おう!』
「……アズっ…!?」
彼は、その速度を緩めないまま、俺に体当たりした。
俺の体は扉へと吹っ飛ぶ。
なんせ、今の俺は少年の体だ。
容易に吹っ飛んだ。
宙を舞う。
音も無き、白い世界。
『…いってらっしゃい、少年キース…』
そうアイリの声だけが、鮮明に俺の耳に届く。
俺は、そうして
『扉』をくぐった……