記憶 ―夢幻の森―
ワンッ!
『…なんでだろうなッ!この光見ると…こう追いかけたくなるんだ、俺…。』
コンは光を見上げながら、その場でうずうず、そわそわと落ち着きなく瞳を動かせた。
『…飛び付きてぇッ!』
「はぁ…?」
ハルカはそう興奮するコンに視線を落とす。
追いかけたくなる…?
飛び付きたい?
俺はそんな様子のコンに首を傾げ、再び光を仰ぎ見た。
青い光をコンが追いかける様子を、何度も目撃している。
しかし、確かそれは小さな小さな青い光。
「…これは…青い、虫…なのか?」
俺は一つの可能性を口に出した。
まさか、一面に広がるのは青い虫の集団だというのか?
「…虫!?」
ハルカがそう声をあげる横で、コンは納得しながら、
『…俺、こんなにいっぱいは相手出来ないぞッ!?』
と相変わらず忙しなく歓喜の表情を浮かべた。
「…いや、頼むから遊ばないでくれ…?」
『ぉ?おぉ…、分かった。…ガ、ガマンするぞ!?』
エマは俺の右横で、何も映すはずのない瞳を見開きながら、
「…何か、来る…」
そう呟いた。
まるで、肌で何かを感じ取る様に…。
「…!?」
「――キースッ!!」