記憶 ―夢幻の森―


確実な方法は、
これしか思い付かなかったんだ。


視界の隅で。
コンが、あんぐりと口を開け放心状態で俺を見ていた。

俺はそんな事お構い無しに、ハルカの様子に集中していた。

駄目か…?
飲め、ハルカ。
飲み込んでくれ…


――…こくん…

そうハルカの喉元が鳴る。


「…飲んだ…」

俺からホッと溜め息が漏れる。


「飲んだぞっ、コン!」

俺は横で見守るコンに、そう笑顔を向けた。


『…はッ!ぉ、おぉ!まだ半分残ってる…ぞ…』

「あぁ、もう一回だ…」

俺はその状態のまま、再び右手の小瓶を口元へと運ぶ。


『も、もう一回……ぅ、ぅわぁぁん!やっぱ嫌だぁ~。俺のハルカぁ。』

コンは、先程とはまた別のショックに悲鳴をあげていた。


『はぅわわわわわ…』

俺が残りの半分を口に含み、後戻りが出来ない事を悟ると、そう声を漏らしながら大人しく耐えていた。

今は、一刻を争う。
そうだろ…?


俺は、ハルカの柔らかな寝顔に手を触れる。


一度目は、必死だった。

今、何が起こっているのか…知るはずもない、あどけない表情に、少し落ち着いた今となっては、罪悪感が生まれた。


ハルカ、
ごめんな…?

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