記憶 ―夢幻の森―
本当に、
ごめんな…?
そうハルカを見つめながら、
柔らかに風に吹かれる髪を撫でる。
きっと…、
「初めてのキス」
だったに違いない、よな…?
こんな形で、
勝手に奪った俺を、
許してくれ、とは言わない。
ハルカにとっては、
俺は…「初めての友達」。
それ以上の感情は、ないんだろうな?
奪うだけ奪って…、
何の償いも出来ずに「この世界」から去る、
ハルカから離れていく俺を…、
…恨んでいい…。
でも、
俺だけは忘れない。
忘れたく、ない。
今日の、
この時の事を……
そう心に誓って、
俺の唇は、
ハルカの小さな唇に、
しっかりと、触れる―――。
露とともに、
俺の想いも伝わればいい…。
唇が離れると…、
ハルカの白い肌が、普段より近すぎて…
こんな時に不謹慎だと感じながらも、俺の鼓動は早さを増していた。
苦しい…
胸が、痛い…。
堪らなく…愛しい、とそう思う。
顔と顔を向き合わせたまま、
俺はしばらく、ハルカに熱い視線を送り続けていた…。
――…こくんっ…
再び…、
ハルカの喉が鳴る。
その音に、はっと我に返った。