記憶 ―夢幻の森―


「……これで、大丈夫なのか?コン…」

さすがに…
少しばかり顔を合わせ辛いのを耐え、首だけコンに向けた。


『…はぅ。多分、ハルカから漏れるセイメイリョクは少なくなるはずだぞ…?』

コンも少し目を泳がせながら、それでも心配そうにハルカの様子を伺った。


もっと…、
早く気付くべきだった。

ハルカが気を失い、眠り出してから…
どのくらいの生命力が、流れ出てしまったのだろうか。


怪我までさせて、
俺はハルカの命までも、
縮めてしまったかもしれない…。

――不甲斐ない。


どうしても。
「花の蜜」だけは、
手に入れなくては…!!

そう再度、意気込んでいる時だった。



ゥワンッ。
『…おぃッ、キース。いい加減ハルカの上から退けよッ…。ハルカに言いつけるぞ!?』

そうコンが俺を睨んでいた。


「ぁ、あぁ…。悪い…」

俺はコン相手に珍しく慌てて、コンの横へと移動する。


「時にコン…。その事なんだが、今あった事も男同士の秘密に加えてくれ…。」

『――ヤダ。』

俺の恐る恐るの頼み事を、コンは即答で断った。

それは、困る。
ここだけは、
俺も引けないな…。

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