記憶 ―夢幻の森―


「…この事を知ったら、ハルカが悲しむんだ。…嫌な思いをする…」

俺はハルカの顔を見つめながら、目を伏せた。


『はぁ?なんでだ!?好きどーしだから、チュウすんだって、パパ言ってたぞ?』

パパとママもチュウしてたし。
と、コンは鳴き加えた。


「…それは、お互い合意の上での話で…」

俺が説明し出すと、コンが言葉を遮る。


『キースはハルカ好きだろッ?ハルカもキースの事、きっと好きだぞッ!?…む。ちょっとムカツク…』

コンは言葉の後半で、
すぐ隣にあった俺の腕に、可愛い蹴りを入れる。


「…ハルカの『好き』と、俺の『好き』は…ちょっと種類が違うんだよ…」

ははっ…と笑いながらそう言った自分の言葉に、少しだけ心が痛んだ。

分かってはいても、
言葉にすると、痛い…。


『…はぁ?ぜぇ~んぜん、分かんないんだけどもッ!?』

分からない、だろうな。
どう説明したら伝わるんだ…?


「…んー、困ったな…」

俺が首を捻っていると、


『よく分かんないけど、キースがそう言うならヒミツにしてやってもいいぞッ!俺もヨワミ握られてるしなッ?』

と尻尾をブンブンと振った。


「そうか…、助かるよ。」

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