記憶 ―夢幻の森―

やっぱり…と呟くと、


「…コンの事、恐い?…嫌わないでね?それと…、コンを怒らないで…?」

ハルカは、俺の頬に必死に顔を近付けてそう言う。

やはり、ハルカもコンも良い子だな…。


「ははっ…。俺は、コンをますます好きになったよ?」

ハルカの事も…な?

俺が笑うと、ハルカはほっと溜め息を漏らした。


「ありがと、キース。」

ぎゅっと俺を抱き締めて、
首元に頬を擦り寄せた。


「ふふっ…、仲良しね。羨ましい。」

エマはそう微笑んでいた。



ワンッ!ワンッ!
『きゃあぁぁ!また発見ーッ!俺すごい~ッ!!』

コンが少し遠くから、そう騒ぎ立てて駆けてくる。


『見て見て~ッ!もう一個!赤い石~!』

コンの鳴き声は高く、
この環境では遠くまで運ばれてしまう。


「…コン、少し静かにしような?昨日の狼たちが、また来てしまうかもしれない。」

俺は少し申し訳なく思いながらも、そうコンに注意した。


『…むぅ!オオカミなら来ないぞッ!アイツら逃げてく時「頼まれただけ」って言ってたもんッ!』

「え!?」

コンはそう吠えると、俺にはお構い無しにハルカの手元に小石を運んだ。

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