記憶 ―夢幻の森―
『―…――…!!』
――っ!?
コンの叫び声。
何を言っているかまでは、分からない。
「エマ!走れるか!?」
焦る俺の問い掛けに、エマは急いで首を振る。
「先に!先に行って!私は大丈夫だから!早くっ…!」
「くっ…、すまない!」
本当に申し訳ない、そうエマに頭を下げ、俺はハルカを背負ったまま頂上を目指して走り出す。
「気を付けて!」
俺たちの背中に、エマはそう声を掛けた。
「コン…、コンッ…!」
ハルカは震える声で、その名を繰り返した。
コン…、
俺がいなくなった後に、
ハルカを慰めるのは、誰だ?
お前を…
失うわけにはいかないんだよ…。