記憶 ―夢幻の森―
そう俺は言葉を繕った。
『…おぉ…異世界からの迷い子かの?わしも長く生きているからの、たまに目にする…』
「…多分、そんなところだろう…。」
出会ったのが彼で良かった。
話が早く済んだ。
「…たまに…というと?」
俺はなるべく心を落ち着けて、平静を保つと話し出した。
『……うむ、100年に一度か、もっと長いかの…?』
「…なるほど。」
気が遠い話だ。
同じ境遇の仲間を見つけようなんぞ、思わないことだな…。
『…長く生きているとな?わしのように話が出来るようになるのだ。精霊…などと人は呼ぶ…。』
「他にも貴方のような方がいるのか?」
俺は、彼とは長話になるだろうと、地面に腰を下ろした。
『…あぁ…、風の便りではそう聞くが、なんせ自由が効かない身でな…?』
さわさわ、と葉を揺らし笑った。
「ここには人間は…?」
『あぁ、いるよ…。種族でいえば、人間と妖精とそれから精霊かの…?』
「…妖精…?」
妖精、とは初めて聞く種族だった。
もちろん、精霊も樹の彼を見るまで知らなかったのだが…。
1人遠くを見て考え込む俺に、彼が語りかける。