記憶 ―夢幻の森―


「全部、エマが言ってるだけだよ!?しっかりして…!!」


…分かってる…。

頭では、分かっているんだ。

エマは『俺の心を映す』と言っていた。
これは、俺の心の内…。

俺の長年の…、


――心の葛藤。



アランは、
あんな事、きっと言わない。

アズもアイリも、
俺を、責めやしない…

でも、
それは、本当に…?



『…いいんだ、忘れろよ…。』

アズ……

『全部、忘れて楽になったらいい…』



「…やめて…くれ。やめてくれ、頼むから…」


心が…
気持ちが、追い付かない。

悲しみで溢れていく。


耐えきれず…、
目を背けて、
再び視線を戻すと…

エマが、首を傾げて立っていた。



「…決められないの?」

「………。」


「…選べないの…?困ったわね。じゃあ…」


エマは、
俺の剣を指差した。



「…貴方自身が消える…?」


「……ぇ…?」


ユピテルの様に…。

そう言っている気がした。



「…その剣で、貴方自身の胸を突けば、貴方の迷いも葛藤も終わる。…ハルカちゃんの事は、私が約束するわ?」

そう微笑んだ…。

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