記憶 ―夢幻の森―
今の俺を、
孤独から救ってくれたのは、
ハルカとコンで。
その出逢いをくれたのは、
他の誰でもない、
アズとアイリで…。
この想いを、
…許してくれるか?
俺の心に降り積もって固まった、どんな想い出よりも、
未来を、信じたい。
今は…、
今の俺には、
それが全てで…。
「…キース…、あたし…。」
躊躇いながら、ハルカが静かに口を開く。
「…何も、言うな…」
きっと…
ハルカは言ってしまう…。
「…あたしを…、」
「――…言うなっ!!」
俺はハルカに…
初めて、怒鳴り声をあげた。
ハルカの肩が、
びくっと震えた。
――目頭が、熱い。
怒鳴り声一つで、
喉は焼ける様に痛かった。
俺はハルカをじっと見据える。
それは、
言わないでくれ…
これが、
この世界が…
夢だというのなら、
夢のままでも構わない。
俺は、
この夢の中に囚われたまま、
このまま、
ここで君たちと一緒に、
ずっと…。
そう過去を忘れようと決意した俺に…、
ハルカは、
言ってしまうんだ…。
「――…あたしとコンを、忘れていいよ!!」
俺はその台詞を、
聞きたくはなかったんだ。