記憶 ―夢幻の森―
『お前さんは変わっているな…?』
「変わっている…?」
まぁ、この世界の住民ではないからか?
『今までの迷い子は、わしを見るだけで固まるか、逃げるか…。この後どうしたらいいのか、と興奮し混乱しているか…。』
…あぁ、
気持ちは分かるよ、よく…。
俺は、ふふっ…と目を細め首を傾けた。
『お前さんみたいなのは初めてじゃのぅ…』
多分…、
俺は彼らとは異世界に迷い込むケースが違うのだろう。
「俺は、導かれてここへ来たから…、何か起こる事は予測出来たから…。」
俺も、過去の砂漠の暮らしの中で唐突に迷い込んだのなら、彼ら同様の対応だろう。
きっと、この世界を否定し理解できない。
でも…、
今の俺は知っている。
人が輪廻する事を。
転生する事を…
そして、
『世界は繋がっている――』
あの2人が言っていた言葉の意味を、俺は、
きっと知りかけている…
…それを、
学びに来たのか…?
『…異世界は、どんな所だい…?今まで聞きたくとも、普通な所だ、と言い切られてしもうてな…?』
「はははっ…普通な所!」
俺は声をあげて笑った。
樹のじぃさんも楽しそうに葉を揺らす。