記憶 ―夢幻の森―
『…ぐるじぃ…』
コンはそう声を漏らしながら、それでも幸せそうに涙を溢していた。
「…苦しかったらっ、…どいていいんだよ?コンっ…」
『…イヤッ!』
「……ははっ…」
俺は、涙を耐えながら笑った。
悲しい。
しかし、それ以上に…
幸せ、だった。
二人が、泣くのなら。
俺は、
笑おう…。
「…有り難う、二人とも…」
俺は二人を抱き締めて、瞳を閉じた。
この想いを。
この、ぬくもりを…
心に焼き付ける為に。
例え、
それが失われてしまうものだとしても…