記憶 ―夢幻の森―
18・生きる強さ
18・生きる強さ
「…皆に謝るわ。ごめんなさい…」
エマが、俺たちの横で頭を下げていた。
横に従えているオリぺも、キュゥ…と可愛らしく頭を下げた。
「………。」
俺たちは何と答えていいものか分からずに、抱き合ったまま、エマを見つめていた。
「…本当に、仲良しね。私は、羨ましかっただけなのかもしれないわ…」
エマは頭をあげると、目を細めて笑った。
もう、その瞳に「冷たさ」は感じなかった。
「…ハルカちゃんは、私に似ていた。ユラに置いていかれた私に…。キース君が去った後、私の様にならない為に、強さを持って欲しかった…」
「……あたし?」
俺とハルカは互いに抱き合う力を緩め、エマの言葉に向き合っていた。
エマは悲しそうに頷く。
「…キース君、貴方の心もまた、私に似ていた…。過去に縛られたまま、その先へ向かおうともせず、独り…。」
「…エマ…」
エマの心が、
染み渡ってくる。
この世界で、
長すぎる夜に『光』を探して…
それでも見つけられずに、
独り。
この地に佇んでいる。
動けずにいる…。